所沢で地域活動をしている方々の
インタビューをご紹介します。
私たち北斗グループは所沢で不動産事業を始めて25年。この地で暮らす皆様、事業を営む皆様と共に歩んできました。
その所沢では今なお、世界中で感染が収まらない新型コロナウイルスの影響を受け続けています。この危機的状況下で、地域に根ざす一企業として何かできることはないのか。地域住民皆の気持ちが少しでも前向きになれるような取り組みはできないのか――。そのような想いで今年5月より始めたのが「所沢助けあいプロジェクト」です。このプロジェクトには11店舗が参加され、短い期間でしたが計52名の方から100万4300円もの温かい支援が集まりました。
支援くださった多くの方への現状のご報告も兼ね、今回はプロジェクトに参加された3店舗の店主に代表してオンラインで集まっていただき、各店の現状やプロジェクトに参加してみての感想、明日への想いなどをお話しいただきました。Withコロナの時代を、所沢に住む私たちはどう過ごすべきか。見えてきたのは「コミュニケーション」というキーワードでした。
――まず皆さんのお店について教えてください
松岡「『大衆ビストロPINE』というお店をくすのき台でやっています。ビールが売りで、常に50種類以上のビールと生ビールを数種類用意しています。食事はイタリアンをベースにしていて、アットホームな雰囲気のお店です。お客さんは家族連れが多いかな。全体で見ると女性が8割くらいです」
吉岡「『しゃぶしゃぶ観』という名の通り、しゃぶしゃぶのお店を南住吉で経営しています。普段使いよりはハレの日需要が多く、接待のお客様も多いです。隣に系列店のバーレストランもあります」
長嶋「西所沢で『和いんや まる』というお店を一人で切り盛りして、令和2年8月で4年目を迎えました。料理は和食メインで、僕がソムリエの資格を持っていることからワインを多く提供しています。お客さんは近所に住む家族連れが多いですね」
――4月の緊急事態宣言以降、お客さんは減りましたか?
松岡「減りましたね。3月までは何とかなっていたんですけど、それでも団体のキャンセルは多かったです。緊急事態宣言中の4月と5月は売上が7割減でした。今(令和2年8月時点)は5〜6割減です」
吉岡「うちは団体様も接待のお客様もゼロになりました。少人数のお客様とテイクアウトのお客様のみでした。売上は半減しました」
長嶋「うちは、4月と5月は思い切って店を閉めていたんです。この間は、2週間に1回惣菜を店頭販売していました。販売日は事前に当店のアプリからアナウンスしていたので、主に常連さんが買いに来てくださったほか、たまたま通りがかった散歩中の方などが購入してくださいました。売上としては8割減でした」
――緊急事態宣言が解除されたあと、お店の売上などは元に戻りましたか? またお客さんに安心してご利用いただくため、今はどのような工夫をなさっていますか?
吉岡「当店は幸い個室が多いので、ご家族や少人数でのお食事で席自体は埋まっています。席数を減らした上で、ですけど。接待や大人数での会食はありませんので、客数は減りました。ただ、もともとやっていたお弁当のテイクアウトは売上が伸びましたよ」
「工夫としては、お客さんに安心してご利用いただくために、これでもかと衛生管理をしています。当たり前なことばかりですが、お客さんの手指の消毒、除菌タオルをお渡しする、スタッフは全員マスクをする、常に換気をし除菌機器を導入するなど。ソーシャルディスタンスを意識して、10名以上用の個室を5〜6名の宴会でご利用いただいています。一つひとつの工夫をコツコツと積み上げて、『このお店だったら安心して行ける』というリピーターを増やしていきたいです」
松岡「いやー戻ってないですね。席数自体を6割まで減らしていますし。ランチタイムは多少戻ってきていますが、夜は会社員の会食利用がなくなりました。正直、来年の今頃も同じような状況ではないかと思っているので、営業スタイルをどう展開していくかを今後考えていかないとな、と。テイクアウトを増やそうか、その場合の費用対効果はどうなのかなどを考えています」
「中でも一番に考えているのは、変わらずに来店してくださる常連のお客さんのこと。その方たちが安心してお食事を楽しめるように様々な工夫をしています」
長嶋「うちはもともと隠れ家的なお店なのもあって、満席になることがあまりなかったんですね。なので席数を半分に減らしましたが、客数的にはあまり変わっていません。もともとランチは予約制でしたが、コロナ禍になって以降は1日1組限定にしています。なので、ほかのお客さんとの接触を気にしなくていいという点で来やすいと思います。夜は3〜4組にとどめ、それ以上のお客さんが来店しても毅然とお断りするようにしています。つまりあえて集客しないことで、お金を得ない代わりに信用を得ているということですね」
「またお店を閉めていた2ヶ月間でメニューを見直し、3分の2に減らしました。余った予算で目玉食材を購入し、アプリでその情報を配信する形の集客も始めています」
――皆さん売上が下がって苦しかったと思うのですが、行政以外からの支援はありましたか?
長嶋「行政の支援は、僕のお店の規模としてはなかなか手厚いことをやっていただいたので、すごくありがたかったです。ただそれ以上に、周りの人の温かさや優しさが何よりの支援でした。店舗を貸してくださっている大家さんは、お店を閉めた翌日に家賃減額を提案してくださいました。その心遣いが一番嬉しかったですね!」
松岡「うちもです。大家さんが家賃減額のお声がけをしてくださいました。あとお客さんが『お店に食べには行けないけれど』とオードブルを頼んでくれたり、人の温かさを実感しましたね。あとは商工会のクラウドファンディングにも参加させてもらいました」
吉岡「私は少し違うのですが、“仲間の存在”がありがたかったです。もともと所沢の飲食店は仲が良く、個人店でお金を出し合って『所沢食べ歩きトコトコマップ』を作成していたんです。東日本大震災の時も、みんなで協力していました。今回もどういう行政の支援策があるのか、みんなで情報共有しながら乗り越えた感じがあります」
――北斗グループが企画した「所沢助けあいプロジェクト」の話を最初に聞いた時、どのように思いましたか?
吉岡「とてもありがたいプロジェクトだと感じましたので、即答で参加を表明しました。すぐに『ほくとと助けあい券』を持って来店くださったお客さんが何組もいらっしゃいましたよ」
松岡「本当にありがたいですよね。やっぱりお客さんに来てもらうために店舗側ができることって割引くらいなんですよ。そうではないルートを作ってくれたというのが、何より嬉しかったです」
長嶋「私は、声をかけてくださったこと自体が嬉しかったです。今ってお客さん側が遠慮して、こちらのサービスを受け取ってくださらない状態なんですよ。ある意味すごく気まずい(笑)。それを『所沢の個人経営の店舗』という大きな括りで、ひとつのルールを掲げてくれているのがいいなって。『うちはそれを買ってもらえると嬉しい』と伝えたことによって、お客さんたちが買ってくれました」
――「所沢助けあいプロジェクト」に参加して、どのような変化がありましたか?
松岡「新規のお客さんが増えました。『ほくとと助けあい券』で応援できるお店ということで知ってくださったんですね。あとはプロジェクトに参加することで横の繋がりができたのも嬉しいです。ほかの飲食店や北斗さんとも面識ができましたので」
長嶋「このプロジェクトによって『外食していいんだ』という雰囲気ができたように感じます。お店に食べに行きたいけどいいのかな、どうしようって迷っていた方にとってひとつのきっかけになったのかなって」
「実際に『ほくとと助けあい券』を持って食べに来てくれたお客さんの同伴者が初めましての方だったり、道を歩いていると『券を買ったので、今度行きますね!』と声をかけられて会話のきっかけになったり。あれもダメ、これもダメと張り詰めていた人の心が解けていったように思います」
吉岡「それはあるかもしれませんね。あと単純な話、北斗さんが個人経営の店舗のためにここまでやってくれたのが嬉しいんですよ。10%のプラス分のお金を負担してくださっているのもそうですけど、Webサイトやチケットを見ると、社内で何度も話し合いを重ねてくれたんだろうなって。その気持ちがお客さんにも伝わって、“助けあいの輪”ができたのが何より嬉しかった!」
長嶋「そうなんですよね。さっきも言いましたけど、お客さんだってお給料が減ったり、外出自粛でストレスが溜まったりしているだろうから、こちらから何かサービスしたいのに拒否されるんですよ。『お店も大変でしょ?』って。お互いの気遣いがすれ違っちゃう。そこに北斗さんが間に入ってくれることで、お客さんが遠慮なくうちのサービスを受け取ってくれるんですよね」
――皆さんのお話を伺っていると、Withコロナの時代だからこそコミュニケーションの重要性が高まっているのかなと感じます。
長嶋「そうかもしれません。僕は店を始めた時から、チラシを配るなどの宣伝は一切していないんですね。SNSの時代だから口コミ1本でやろうって。でも信頼してもらっていい口コミを出してもらうのって本当に難しい。SNSは個人が発信するツールですから、どのような発信をするかはお店でどのような体験をしていただいたかに依存します。だからこそ、お店ではお客さんに安心安全な外食体験をしてもらうことが何より大事なコミュニケーションなのかもしれませんね」
吉岡「うちはしゃぶしゃぶのお店が19年目、隣のバーが33年目と、所沢では比較的老舗です。こうやって長いことお店をやっていると、お客さんに優しくしてもらっていることを実感します。その優しさに応えるため、来ていただいたお客さんにとにかく満足してもらえるようにするのが、1番のコミュニケーションだと思います」
松岡「僕は所沢出身ではないので、人間関係がまっさらな状態でお店を始めました。そこから少しずつ人と繋がって4年続けてこられたの少しずつ人と繋がって4年続けてこられたので、この繋がりを大事にしたいですね。オープン当初から来てくださっているお客さんもいるので、いいコミュニケーションをとり続けていきたいです」
――コロナ禍において、人と人との繋がりを大切にするために重要なことは何だと思いますか?
吉岡「正しい知識を身に付けることではないでしょうか。世の中にはいろいろな人がいて、衛生管理への意識の高さも人それぞれです。その一方で、どれだけ気を付けていても感染する可能性があるのが今回の新型コロナウイルスです。だから、もし周りに感染してしまった人がいたら、無闇に避けるのではなく少しでも早く治るのを祈るのが当たり前という意識を持てる環境を作らないといけないと思います」
松岡「本当にそうですよね。今はコロナ感染者が出た企業やお店は石を投げられたり、感染した芸能人が叩かれたりしていますから。僕の知り合いのお店でもコロナ感染者が出ましたが、本来であれば一定期間の営業停止後、除菌などの対応をすれば正常に営業再開していいと思うんです。なのにそれを許さない風潮があるのが怖いです」
長嶋「当店は今のところ僕一人で回していますが、コロナ感染した場合に自然な形で社会復帰できるようなシステムづくりを国がやってくれると助かります。また、一定期間の営業停止後に『治ってよかったね』と周りの方から言っていただけるような空気を作らないと、どんどん殺伐としてしまうのではないでしょうか」
「吉岡さんが言うように、正しい知識を身に付けるのが大事というのは本当に真理で。今はニュースで報道された感染者数に恐怖を煽られているのが、皆さんが出歩かない理由の一つだと思うんですね。でも、具体的にどういう対策をすれば外食や遊びを楽しんでいいのか、感染して治ったあとにどうなるのかなどをそれぞれが理解していれば、もう少し自由や安心を得られるのかもしれませんよね」
――最後に、所沢で生活する皆さんにメッセージをお願いいたします
長嶋「お店で飲食してくださっている間は、できるだけコロナのことを忘れていただいて、楽しく過ごせる環境づくりをしていきたいと思っています。ただ無理して来ようとは思わないでください。皆さんが『行きたい』と思えた時がベストなタイミングだと思うので。その時は、ぜひご予約の上ご来店ください。お互いに笑顔をもらえるような、楽しい話をしましょう」
吉岡「このコロナ禍で、皆さんもストレスが溜まっているかと思います。なので当店で食事をしている時だけでも、そのストレスが軽減できるといいなと思います。皆さんがいい雰囲気で食事をしていらっしゃると、こちらも元気をもらえますから。万全な対策をしていますので、ぜひ安心してお越しください」
松岡「これまで色々と協力してくださったお客さんや周りの皆さんには感謝しかありません。そんななか僕にできることは、安心して来てもらえる環境を作ることだと思っています。継続してお店を営業していくので、気が向いた時、ストレスが溜まった時はぜひ来てください。僕らは決して悲観的ではなく、ポジティブな気持ちで営業しているので、皆さんも楽しい気持ちで来てくれたら嬉しいです!」
-所沢助けあいプロジェクトを通じて感じたこと-
この夏、私たちはコロナ禍においても「所沢」に魅力的で元気な街でいてほしい、そのためにはまず地域の魅力を形づくっている個性あふれる「個人経営の店舗」に元気になってほしいという願いから「所沢助けあいプロジェクト」を企画しました。
この活動は、日頃おこなっている不動産業とは全く勝手が異なるため、うまく仕組み化しきれずプロジェクトにご参加頂いた皆様には不便な思いをさせた点もあったと思います。もう少し便利な仕組みを作れていれば、もっとたくさんのお店にもっとたくさんの支援額を届けられたのではないかと思うと、申し訳ない気持ちが残ります。
けれども、今回は「私たちができる精一杯のスピードで、少しでも早くお困りの店舗に支援をお届けする」ことを最優先に考え、プロジェクトを遂行できたこともあってか、私たちの取り組みに賛同し、支援くださった多くの方から激励や前向きなお言葉を、そして参加店舗の皆様から温かいお礼のお言葉をいただき、あらためてやってよかったと感じています。所沢への地域愛もますます深まりました。
同時に、コロナ禍におけるコミュニケーションの重要性にも気づけました。対面で会えなくても、互いに相手を思いやり気遣う気持ちを忘れてはいけないのだと感じています。
北斗グループはこれからも所沢の未来を考え続けます。皆様とのコミュニケーションを大事にしながら、共に所沢の明るい未来を作っていければ幸いです。
北斗アセットマネジメント株式会社
所沢助けあいプロジェクト メンバー一同
TEL:04-2922-0290(定休なし)
住所:所沢市南住吉9-16-102 所沢駅から徒歩約7分
駐車場の有無:有 26台
営業時間:《 ラ ン チ 》11:30~14:00(LO)《ディナー》17:00~22:00(LO)
予約について:予約必要なし
主なコロナ対策:入店時手指消毒、スタッフのマスク着用、店内や設備等の消毒・除菌・洗浄など
TEL:04-2008-2960(不定休)
住所:所沢市くすのき台3-16-2 1F 所沢駅から徒歩約5分
駐車場の有無:1台のみ、お店裏に有り
営業時間:《 ラ ン チ 》11:30~14:30(LO14:00)《ディナー》17:30~24:00(LO23:00)※現在は平日23:00クローズ(LO22:00)
予約について:飛び込みも可。週末は要予約
主なコロナ対策:入店時の手指消毒、検温の実施、スタッフのマスク着用、席間隔の徹底など
TEL:04-2941-4368(不定休)
住所:所沢市西所沢1-7-16 1F 西所沢駅から徒歩約3分
駐車場の有無:なし
営業時間:《 ラ ン チ 》予約制《ディナー》17:00~23:00
予約について:ランチのみ要予約
主なコロナ対策:入店時手指消毒・マスク着用・定員制限など