所沢で地域活動をしている方々の
インタビューをご紹介します。
いま、高齢者の孤立化が社会的な問題になっています。“自宅以外の居場所を見つけたいけど見つけられない” という方が増えているのです。そんな中、金山町の一角に誰もが気軽に集える喫茶スペースがあります。その名は「コミュニティはな」。
訪れる方は皆楽しげで、コーヒーや紅茶を片手に何気ない話を交わしたり、誰かの相談に耳を傾けたりしています。今回は、オーナーの小林ヒデ子さんに「コミュニティはな」を始めた理由などを取材させていただきました。
――「コミュニティはな」とはどんな場所ですか?
簡単に言うと、みんなでお喋りするカフェスペースです。メニューはコーヒー・紅茶(お菓子付/250円)だけ。あとは曜日によってイベントを開催しています。
例えば、毎週火曜日におこなっているのは「なんでも相談会」。皆さんの日々の困りごとなどを伺い、解決するのに適切な行政機関などを紹介しています。「身内に介護が必要な人がいるけれど、どこに相談したらいいの?」という内容であれば地域包括支援センターや社会福祉協議会に繋ぐ、といった具合です。
私は今年で民生委員としての活動が27年目を迎えます。他にも社会教育委員、人権擁護委員、いじめ問題対策委員など、たくさんの委員を兼務しているので、所沢市内であれば頼りになる知り合いが多いのです。だから内容に応じて色々な方をご紹介できますし、私を含め全スタッフが守秘義務を守っているので安心してご相談いただけます。
水曜日は「水曜市」というのを毎週13:00~16:00の間で開催し、季節の野菜などを販売しています。野菜は私が畑で育てたもの。近隣から落ち葉をもらってきて、堆肥から作っているんです。八ツ頭や里芋、ねぎ、いんげん、青梗菜、白菜、大根、小松菜、からし菜、トマト、ナス、キュウリ、菜の花など季節の野菜を20種類近く育てています。
そして、毎月第1・3金曜日は「カレーの日」。夕方16:00~19:00の時間帯に夕食として提供しています。テイクアウトの場合は、環境に配慮して入れ物をご持参いただいています。カレーに添えているサラダや煮物などには、私が育てた野菜を使っているんです。いろいろ食べてほしくて、ついついアレもコレもと添えてしまうから、盛りだくさんの一皿になってしまうんですよ。
また「コミュニティはな」は催事会場などとしてお貸しすることもできます。12月には箏(こと)のクリスマスコンサートにご利用いただき、約20名程の方と一緒に演奏を楽しむことができました。演奏後のティータイムもみんなでとても有意義な時間を過ごすことができましたよ。
――「コミュニティはな」を始めた理由を教えてください。
地域の皆さんの居場所を作りたいと思ったんです。昔の近所付き合いと言えば縁側から「お茶飲んでいきな」と声をかけたり、ガラッと玄関扉を開けて「こんにちは」と世間話をしたりというのが当たり前だったでしょう。でもいまはそういう機会が減りました。加えて、所沢には子に「一緒に住もう」などと呼ばれ、高齢で地方から出てくる方も多くいらっしゃいます。すると、どこにどんな場所があるのかがわからなければ、お店や人の良し悪しも判断できない。お医者さん選びにも苦労しています。そういう方が安心できる情報を得られる場所にもできたらいいですよね。
でも一番は、私自身の居場所を作りたかったのかもしれません。ここにいれば、お手伝いしてくれるスタッフさんや訪れてくれる利用者さんなど、色々な方とお喋りできますからね。毎日本当に楽しいんです。
スタッフのみんなもそう思ってくれているみたいで、現在は15名もの方がボランティアでお手伝いくださっています。「ここで色々な方とお喋りしたいから病気になれない!」と日々の活力になっている方もいれば、「いつまでも歩ける足を維持したい!」とリハビリ目的で通われる方も。65歳で定年退職して、現役時代の経理経験を活かしてくれている方もいます。みんな、ここでの活動にやりがいを感じているみたいです。
――2021年1月6日にオープンして、約1年経ちましたね。
オープン当初は、翌日から緊急事態宣言が発令されてしまって。その後もまん延防止措置が出されて、ずっと二の足を踏んだ状態でした。いまのようにカフェを開けられるようになってからはまだほんの数ヶ月なんですよ。
自粛要請のあった期間中は、密を避けなければならないので飲食の提供は中止にして、地域の方々がつくったバッグや帽子などの展示や委託販売だけをおこなっていました。その後、新型コロナの流行状態が比較的落ち着いた6月あたりからは「カレーの日」と題してカレー販売をテイクアウト限定でスタート。嬉しいことに、当時からずっと、少し離れた場所からわざわざバスに乗って食べに来てくれる方もいます。
カレーはやはり大鍋でたくさん作ると美味しいですからね。次第に評判も良くなっていますよ。色々な方が代わる代わる立ち寄ってくれるので本当にありがたいですね。
――今後「コミュニティはな」をどのような場所にしていきたいですか?
同じ地域に住む人たちが知り合いになって繋がれる場所になるといいですね。街ですれ違った時に「こんにちは」と挨拶できる人が一人でも増えたら、毎日が楽しくなるでしょう。
私は人との繋がりを大切にしたいんです。それに、皆さんも人と繋がりたいと思っているような気がします。「支援を必要としている人」に気づくのは、普通に生活しているだけではなかなか難しいです。でも、繋がれば気づける。だから私は、少しでも地域住民の方たちから気軽に相談してもらえるように、毎日、地域で暮らす子どもたちの登下校の見守り活動をしたり、地域のお祭りや自主防災訓練などに参加したりして、多くの方と繋がることを心掛けてきました。ちょっとした会話のついでに相談してもらえる関係になりたいと思っているからこそです。
「コミュニティはな」にお茶しに来たついでに、ポロッと悩みをこぼしてもらえたら、解決に繋がるようにできる限りのことはするつもりです。私自身も色々な人に助けてもらって生きているからこそ、私も皆さんの助けになりたいと思っています。そうしてみんなで笑顔になって、楽しく毎日を過ごせたらいいですね。
-インタビューを終えて-
「コミュニティはな」のドアを開けると、温かい笑顔で小林さんとスタッフの皆さんが迎えてくれました。初めて来た場所なのに、実家に帰ったかのような居心地の良さです。また入口付近にはたくさんの手作りの品。あまりの格安価格に、思わず「本当にいいんですか?」と尋ねると、「作り手さんたちがこの価格でいいって言うのよ。材料費にもならないと思うんだけどねぇ」とおかしそうに微笑んでいた様子が小林さんのお人柄の良さを表していて、とても印象に残っています。
小林さんは「私の居場所作りを営利目的でやっているのよ」とおっしゃいますが、お菓子付きのコーヒーが250円という儲け度外視の価格設定には優しさが溢れているように感じます。「ただ会いにきてほしい!」「みんなでお喋りして楽しく過ごしましょう!」そんな声が聞こえるようです。「コミュニティはな」に行けば、街の誰かがいる。各町内にこういう拠点があると、救われる方がいるのかもしれないと思いました。
コミュニティはな
●場所:所沢市金山町18-1(イエダ時計店の隣)
※お車でお越しの際は「セブンイレブン金山町店」の向かい駐車場(金山町商栄会)をご利用ください
●開店時間:13:00〜16:00(月・木曜定休)
※第1・3金曜日の「カレーの日」は16:00~19:00まで
●メニュー:薫り高いコーヒーor紅茶(お菓子付き)250円
<お知らせ>
★日替わりイベントを毎週開催中♪
-火曜日:なんでも相談会『一人で悩まないで』(専門相談も受付)
-水曜日【13:00~16:00】:水曜市(季節の野菜など販売)
-金曜日(第1・3)【16:00~19:00】:カレーの日(サラダ付/500円、テイクアウトは容器持参)
★会場のみの貸し出しも可能です
開店日以外でも可能
問い合わせ:04-2922-2071(留守電の場合は、用件をお話しください)
★スタッフは随時募集中!
お気軽にお声がけください♪